投稿者: inanaga@u-a.tokyo

ユー・エー、横浜市立大学医学部医学科脳神経外科教室の園田真樹ドクターと内視鏡手術トレーニングを目的とする人体解剖学的構造を再現した頭頚部モデルの研究をスタートしました。

2025年2月23日

脳神経外科分野において、これまでの蓄積された治療技術の深化と新たな治療技術の開発を研究されている横浜市立大学医学部の園田先生※からのご要望を受け、当社では脳神経外科分野に関連するトレーニングモデルの受託開発をスタートすることとなりました。

  • 研究開発の背景

昨今、脳神経外科分野においても、医療機器の発達により様々な治療が行えるようになってきた半面、ドクターにとっては非常に高い治療技術が必要とされるようになってきました。特に頭頚部内視鏡治療においては、無数に広がる血管や神経などを傷つけないような知識や技術が必要となります。

当社では2024年4月頃より、頭頚部のモデル作りの検討を開始し、データ収集、専門家へのインタビュー、専門の医学会での情報収集、様々な試作などを行い、わたしたちがこの分野においても治療技術向上に貢献できるのではないかと考え、園田医師の後押しを受け、開発をスタートしました。

  • 開発のフェーズと今後の展開
  1. 脳神経外科分野のモデル作りには、まずは頭頚部の解剖学的に正確なデータを作る事から始まります。頭頂部から食道まで、CTやMRIといった医療画像から3Dのデータを作成し、3Dソフト上で手術時の体位や姿勢の変化に応じたリギング(骨や筋肉の動きを再現)設定します。それぞれの部位の硬さや柔らかさをリサーチし、再現できる素材を検討します。
  2. 3Dデータを基に手作業や機械加工で造形を行います。それぞれの部位を柔らかい、硬い、削れる、通電可能など素材に置き換えて合理的方法でモデルを作ります。
  3. 成果として、モデルを通じたトレーニングの論文化やモデルの市販を目標とします。また3DCG(コンピューターグラフィック)を通じて、各脳部位の働きをアニメーション映像や画像で可視化し、将来、脳を原因とした病気の治療技術開発の研究者を後押しできるコンテンツを作りたいと考えております。
  4. 頭頚部モデル作りから得られたノウハウは、耳鼻科領域(咽頭部や甲状腺)、消化管領域(食道)、呼吸器(気管支)などにも応用でき、わたしたちの取組みを広げていきます。
  • 当社のミッション

わたしたちのミッションは治療技術の向上が必要とされる分野の社会課題を解決できるようにサポートしていく事であります。脳神経外科分野のモデル作りは難易度が高いといわれておりますが、当社がこれまで培ってきた、データ解析、設計、デザイン、製造技術で障壁を乗り越えていけると考えております。


園田 真樹 医師

横浜市立大学医学部医学科脳神経外科教室 助教

Medtec Japanへ共同出展のお知らせ

2023年4月

当社は、4月19日~21日まで東京ビッグサイトにて開催されたMedtec Japanに産業技術総合研究所(産総研)・医療立体モデルコンソーシアムブースに共同出展しました。多くの医療機器メーカーおよび研究者の方々から当社プロダクトにご関心を持っていただき、また貴重なご意見やご助言を賜ることができました。産総研の方々を含め皆様に厚く御礼申し上げると共に、これからも様々な低侵襲治療の研究開発、育成、発展のために尽力してまいります。

日本消化器内視鏡学会総会への出展のお知らせ

●2024年5月18日 

当社は、2024年5月30日~6月1日グランドプリンスホテル新高輪・国際館パミール(東京都港区)で開催される第107回日本消化器内視鏡学会総会に企業出展します。

下記医療用モデルを展示予定でございます。

  • ERCPモデル(展示のみ)
  • 上部拡大内視鏡胃モデル(展示のみ)
  • 呼吸性変動付き肝がん経皮的超音波RFA穿刺ファントム(穿刺体験できます)

皆様のお越しをお待ちしております。

●6月2日追記

会期中は、たくさんの医家および企業の方々に当社展示スペースまでお越しいただき、誠にありがとうございました。

ユー・エー、東北大学大学院医学系研究科消化器病態学分野チームと消化器分野のシミュレーター共同研究開発スタートのお知らせ

2023年12月2日

当社はこれまでも東北大学大学院医学系研究科消化器病態学分野(研究総括 菅野 武医師※)と消化器分野の医療シミュレーターの様々な可能性をリサーチ・議論し共同で要素検討を行ってまいりました。

わたしたちは、要素検討から研究開発へと一歩前に進め、実際のものつくりフェーズに移行します。これから作っていこうと考えているものは、消化器内視鏡を使った低侵襲な手術のシミュレーターです。食道、胃、十二指腸(胆管含む)、大腸に出来た病気をお腹を切らずに出来る手術の様々なシミュレーターやトレーニングモデルの創出を目指します。また、交流を通じて医療シミュレーターの開発に携わる人材の育成にも努めていきたいと考えております。

・共同開発の背景

昨今、消化器内視鏡性能の大幅な向上と処置具類の充実化により、内視鏡は病気を発見するだけではなく、内視鏡を使った治療も盛んに行われてくるようになりました。お腹を切らないで、口や肛門から内視鏡を挿入し患部に到達して直接治療できるため、術後から退院までが短期間になることもあり、患者さんのQOL(Quality of Life=生活の質)の向上に繋がり、社会的にも医療費抑制に貢献できます。しかしながら、内視鏡を用いた治療は医師にとってはとても難しい手技(しゅぎ)が多く、その手順も複雑になっています。

この研究総括を担当される菅野医師は2011年3月11日の東日本大震災の時に勤務されていた宮城県本吉郡南三陸町の志津川病院で迫りくる津波の中での医療行為で注目され、米国TIME誌の「The 2011 TIME 100」に選出されました。その後、菅野医師は被災者がストレスを起因とした潰瘍性出血になりやすいという報告をしました。一般的に心臓に近い臓器からの出血は勢いが強く危険です。それに伴い消化管における止血技術の重要性を明らかにし、シミュレーターの開発に取り組まれております。さらに地域医療の充実、若手の医師教育に関わる仕事もされています。

当社は医療用モデルの設計・デザイン・造形といった技術と症例及び内視鏡・処置具類の正しい医療知識に基づき、このような社会課題の解決に向けてご提案できると考えております。また当社がものつくりに携わることは、これまで当然と考えられた大きなコストと時間の削減にも寄与する事が期待されています。


菅野 武 (かんの たけし) 医師

東北大学 大学院医学系研究科消化器病態学分野 准教授

自治医科大学 医学教育センター 医療人キャリア教育開発部門 特命教授